宝物のような時間


起業したての頃のメインの仕事はデザインではなく
ワークショップの司会などをしていました。

その中でも印象に残っているのが社員向けのSNS投稿のワークショップ。
日常の中で1つ題材を見つけてもらい、
それにまつわる写真と文章を用意してもらって後日シェアして感想を言い合い、
その後に会社のSNSで配信するというもの。

題材はフリー。仕事に関連しないことでもOK。
趣味でも家族のことでも、好きなことを自由に表現してもらうことにした。
初めての試みなので社員さんの負担になるのではと不安になったのを覚えている。

でも、いざ用意してもらった写真と文章を見て不安が一気に吹き飛んだ。

そこには、家族との会話や仕事先でのお客様との関わりや最近読んだ本のことなど
その人らしい文章と写真がいきいきと表現されていた。

初の試みを終えて胸がいっぱいになっていた。

思っていた以上に働く人はその人なりの視点というものを持っている。
そしてそれを発信することは、仕事を超えた奥行きや人間性が垣間見れることになり、
やがて企業の魅力に繋がっていく。

初めは乗り気じゃなかった人も次第に積極的に参加してくれるようになった。

何より私にとってかけがえのない宝物のような時間になった。

社員にとって会社のSNS配信は億劫な存在かもしれない。
でも個人の想いを表現することで社員の個性を磨き、
企業の魅力に直結するツールになるのだと感じられた貴重な経験でした。