今まで撮影した中でも印象的だった藤本ファームのご夫妻について。
お二人は三田市で有機農業を営んでいる。
初めてお会いしたのはビオラルマルシェの時。
ご自分達が育てた野菜をとても丁寧に扱っているのが印象的だった。
有機農業に出会う以前は慣行農業(農薬を使う農業)を営んでいた。
ある時ご主人は、ビニールハウス内で作業をする奥様が農薬の霧の中に消えていく姿を見て
「本当にこのままでいいのだろうか」と疑問に思ったそう。
こんなに大量の農薬を浴びては今は大丈夫でも身体にいい訳がない。
他に方法はないか探す中で有機農業に出会った。
「求めていたものはこれに違いない。」
そう思いながら有機農業にのめり込んで行く中で迷いもあったそうです。
有機は手間がかかるため収穫量も今までのようには確保できない。
今後の生活も保証されるかどうか分からない。
だけどそれ以上に気持ちに嘘を付くこともできなくなっている。
「もう後戻りできない。」
有機農業の勉強会に向かう公道で
葛藤を抱えながらも強い気持ちで車を前に進めたそう。
お二人から野菜の話を聞くと
野菜が「有機」であることがどれだけ大切なのかが良くわかる。
説明が上手という理由だけではない。
「戻れない」という不安を抱えながらも
前を向いて正直に歩いてきたお二人の気持ちが胸に刺さるからだと思う。
この写真はビオラルマルシェのチラシ用に撮影したもの。
カメラを向けると
「この人が代表だから」と奥様を前にしてご自分は後ろに少し下がる優しいご主人。
身体の芯が凍てつくような2月の三田で、心温まるひとときでした。