以前住んでいたご近所の中華料理屋ぐら。
先日お店と看板メニューの「ぐら定食」を撮影させて頂くことに。
料理を目の前にしてシャッターを切る瞬間、その美しさに息を飲んだ。
ぐら定食は今まで何度も食べてきたから美味しさは理解しているが、
それにも増して完成された美しさにあらためて感動した。
写真を撮るようになってから、いい写真とは何か考え続けてきた。
カメラや機材を追求すればいい写真を撮ることはできると思う。
映えるような加工ソフトもたくさん出てきた。
スマホを開くと世界は綺麗な写真で溢れている。
しかしある時から綺麗な写真に違和感を覚えることも多くなった。
美味しいと評判の店の料理写真から美味しさが伝わって来ないと感じる事がある。
もちろんお洒落な雰囲気で撮られているし、これを見て店に行く人もたくさんいるんだろう。
しかし、撮る人が美味しさと作り手の気持ちをキャッチしていない気がする。
綺麗な写真が溢れる今の時代では、そのうち埋もれてしまうのではないかと思うと胸が苦しくなる。
ここ2年くらいずっと写真を撮り続けてきたけれど、被写体と気持ちが通い合っていないと写真に如実に現れる。
でも、この撮影のように信頼している人が作った美味しい料理を目の前にすると、キャッチした想いがすーっと写真に映し出される。
こういう瞬間は一番嬉しい。
店長とぐら定食と私がリレーのチームだったら、きっと私たちは優勝してるだろう。
私はもちろんアンカー。
店長とぐら定食からバトンを受け取り、力強くひた走る。
写真を見る人の心というゴールへ向かって。
そんなことを思い浮かべながら「これからもリレーのアンカーみたいな仕事がしたいな」と思った撮影でした。
※ぐら定食は通常、画像のお料理にスープとご飯がセットになっています。