初めからデザイナーになりたいとそこまで強く思ってたわけではない。
それでもやはりデザインの仕事をしたいと思ったのは理由がある。
これまでの大阪での経験が私の心を奮い立たせてくれた。
大阪に来てからすぐに企業ブランディングをしているデザイン事務所で働いた。
企業がブランディングに求めるものは様々。
「今のイメージを変えたい」
「もっと売り上げを上げたい」
「顧客層を広げたい」
現状を変えたいというのが一番の要望だったように思う。
しかし話を聞いているうちに共通する「ある点」に気がづいた。
何かを変える前に自社のいいところを知らずにいる。
今の良い部分を伝えると「当たり前だと思っていたので気が付かなかった」と驚いているようだった。
自社のいいところって意外に知らないものなんだとその時初めて知った。
「変わりたい」という気持ちは人間の普遍的な願望だ。
多くの人が自分ではない誰かになったらもっと魅力的になるのではないかと思っている。
でもそのままの良いところを率直に伝え、相手が心から安心している様子を見ると
心の底ではそのままのいいところを好きになりたいんじゃないかと思った。
その方が無理なく輝きを放つことができる。
そして、ブランディングを通して私は初めて自分の想いに気づいた。
企業の魅力を見つけてデザインの力で伝えたい、と。
自社のいいところは自分たちでは気が付かない。
客観的な立場で関わるからこそ気づける輝きがあると思う。
そしてその輝きを損なわずに伝えるためにはデザインの力が必要だと思った。
あれから時を経てデザイナーになったけれど、道のりは長くまだまだこれからだと感じている。
ゴールは「企業を愛する存在」。
見失っている企業のいいところを見つけ
愛を込めて伝える存在にいつかなりたい。
2021.6